お父さんとお母さんのお葬式。
その日は私の誕生日だった。
おばあちゃんやおじいちゃんに私が自分の誕生日の日に
2人のお葬式をあげたいって、たのんだんだ。
初めは反対してた。
1年に1回の特別な日に、辛い思いをさせるなんて考えたくないらしく、
しばらく2人とも黙りこんでいた。

でも、私はだからこそお葬式をその日にしたかった。
誕生日なんて、生きているうちに何回もあるんだ。
でも、お父さんとお母さんのお葬式は、何回もない。
お父さんとお母さんを見れるのは。
私の11歳の誕生日しかないんだから。

2人は私の考えを受け入れてくれて。
お葬式の日は私の誕生日の日に決まった。

□ □ □

お葬式には、
お父さんとお母さんの知り合いや、親戚。
会社の同僚の人がきていた。

「星ちゃん。可哀想だなぁ」
「親を同時に2人もなくすなんてねぇ。」
「まだ11歳だろ?辛いだろうなぁ。」

皆、私を同情の目で見る。
うん。
わかってるよ。
そんな目で見られるのは、わかってる。
皆の目には、私が可哀想な子として見えていることも。
全部わかってる。

お父さんとお母さん。
何で私を助けたの?
私を1人にしないで。
1人は嫌。
嫌だよぉ。

ココロの中で叫ぶ。
でも、誰にも聞こえない。
お父さんとお母さんは、もういない。
私を助けてくれる人は、もういない。
全部全部。
わかってたんだ。
でも、私はー・・・。
「さみしいよ・・・。」
1人は嫌。
みんなと一緒がいい。
私を一人にしないで。


ココロの中で1人。
ずっと叫び続けた。