そう藍が言ってから、その話からは離れていった。


 私みたいに目立たない人の噂なんてあんま知られんし、ましては葵衣が知ることはないやろと思っていた。


 あの頃。


 私は、嬉しいとも迷惑とも感じなかった。


 あぁ、そうなんや。


 まるで、他人事のように聞いていた。


 噂やし、真実かどうかもわからへんやん?



 その噂を聞いても、特に私の日常に異変は無かった。


 クラスでは、普通に葵衣と話すし、よく葵衣と一緒にいる友美とも話す。


 必要な時も、男子と話すしな。


 もちろん、日向とも。


 でも、噂を聞いてから葵衣に知られるんじゃないかって思うことが多くなった。


 それでも、当の日向は普通に話しかける。



「今日のテスト、何点だった?」


 最近、学年で日本の川や盆地、平野の小テストがあった。


 私は、暗記教科が好きやから結構自信があった。


 ちなみに、50点満点。