「ねー、見てて分かるよ。すっごく嬉しそうだもん。」
藍と一緒に踏切で停止中。
「な!幼稚園からずっとそうやで!日向も気づいてると思うんやけど。あんま、好きやないんやろうな。」
藍が苦笑した。
「ま、私が日向を好きになることは無いから、大丈夫やろ。」
そう、私が言って電車が線路を走っていった。
「―――――――――――で?」
電車が踏切を通る時に、藍が言った。
「え?なんか言った?全然、聞かれへんかった。」
そう藍に聞き返す。
遮断機があがり始めた。
藍は、笑いながら言っていた。
「なんも無いで?気にせんで!」
その時、藍はこう言っていた。
『恋香が、日向を好きになることがあるかもしれへんで?』
その事実を知るのはそれから、2、3年後まで先になる。

