中学2年生の夏。

 
 私の心が動き出した時期。



 始まりは、友達のこんな一言からだった。


「そういえばな。最近、こんな噂を聞いたんよ。」

 
 関西弁混じりで、よく私の隣にいてくれる、矢崎藍。

 
 家が近くて、小学校に通っていた頃からこの道をずっと共に歩いてきた。

 
 よく晴れた夏の日。

 
 いつものように学校に向かう私達。

 
 この頃、噂をよく耳にしていた藍はその情報を私に教えてくれた。


「噂?」


 藍の関西弁が耳に残り、私もちょっと言葉がなまってしまっていた頃。


「そう。恋香は、日向って知っとる?」


 車が横を通り、青い空に大きな入道雲がよく見えていた。


 朝から暑い夏にスカートは辛い。


 熱気がスカートの中に溜まっていて、気持ち悪い。


 よく帰りにスカートをバサバサさせ、スカートを持ち上げて先生に「女子がみっともない!」って言われてた。


 スカートを特別、短くさせる人はほぼいなく。


 私は、平均より長いほうだった。