「いいなー!ちょっとだけでいいから、頭脳分けてー!!」


 二人は笑いながら楽しそうだった。


「俺から頭脳もらったら、俺がダメになる!」


 こうも楽しそうなのに、日向はあんまり葵衣のことが好きじゃないんやなー。


 なんか、葵衣に同情する。


「ほらー、前向け。20点以下だった奴は、模範解答の裏に解答用紙があるから書いて、提出なー!」


 社会の先生がそういうと、みんなブーイング。


「あー、よかった。30点台で。」

 
 そんな声が聞こえて隣をチラッと見ると、解答用紙を見て日向が嬉しそうに呟いてた。


 ふと、日向が顔をあげた。


 日向は微笑みながら言った。


「矢崎はやり直し組?」



 葵衣はブーイング組だから、聞こえないのだろう。


「ううん。」



「何点だった?」



 私は、解答用紙を日向に見せた。



「さすが!50点!すげーな!」


 日向は純粋に驚いたようなリアクションをした。


「見てよこれ。俺、書いてないところだけ合ってなかったー」