「やばいやばい~!!!!遅刻だぁ~!!!!」

入学式当日

そんな大切な日にあたしは寝坊してしまった。
「もぉ~よりによってなんで今日目覚ましが壊れるのぉ~!!」
そんな独り言を言いながらギリギリで学校に着いた。
―――キーンコーンカーンコーン
予鈴とともに入学式が始まる。
校長が舞台に立ち堅苦しい話を長々とした。
式が終わり各自で自分のクラスにいくことになった。
あたしは長い話と寝起きのせいでクラス表の所に行くまで大きなあくびを何回もしていた。
「やだぁ、朝からだらしない~」
小学校からの親友、小野寺麻衣があたしを見て笑っていた。
「しょうがないじゃん!!今日目覚ましが壊れちゃったんだもん…」
少し気を落としたように言うが麻衣には効かないらしい。
「自分で起きないのが悪い」
と、あっさり返されてしまった。

クラス表の前はすごい人数の生徒で埋め尽くされていた。
あたしは身長156㎝と小柄なので到底クラス表なんて見えない。
それに比べて麻衣は身長168㎝とかなりのモデル体系であった。
なので、麻衣がクラス表を見てあたしにクラスを教えてくれた。
「やったね!!同じクラスだよ!!1-Bだって」
麻衣があたしに抱きついた。
今回も麻衣と一緒になれてあたしはとっても嬉しかった。

クラスに行き自分の席に着いた。
どうやら席順は出席番号順らしい。
麻衣があたしの後ろにいたからだ。
麻衣と話していると1人の男子がみんなより遅れて入ってきた。
空いているのはあたしの隣の席だけ。
ということは隣の席の人かな…?
あたしは机の上に置いてある席順の名簿表を確認した。
えーっと…岡崎…純…くんかな…?
自分の席を確認した岡崎くんがあたしの隣に座る。
顔を見ると彼はかなりカッコイイ顔立ちをしていた。
程よく伸びた黒い短髪、銀フレームの四角い眼鏡、くっきり二重のキリっとした目、柔らかそうな唇。
見ているとだんだん吸い込まれてしまいそう…。
そんなことを思っていると担任らしき人が入ってきた。
「みんな~静かにしろ~!!」
担任が教卓に手をつき呼びかける。
「私がこのクラスの担任になった山田光輝です」
山田先生が黒板に自分の名前を書きながらそういった。
山田先生は40代くらいの男の先生だった。
クラスの男子が1人立って叫んだ。
「光輝だって!!名前めっちゃ光つくじゃん!!ピカピカ先生だぁ~」
とたんにクラス全員が笑い出した。
麻衣もあたしも笑っていた。
ふと、岡崎くんを見ると顔を崩して爆笑していた。
顔はクールでカッコイイけど結構明るいんだ…。
と、少し見惚れてしまった。
そして、山田先生はというと。
教卓についていた手に力が入っていてキレる寸前だ。
叫んだ男子がまたピカピカ先生と言う。
その瞬間
ドンっと山田先生が教卓を叩いた。
クラスがしんと静まり返る。
「お前等!!入学したばっかりだからって調子に乗るなぁ!!」
山田先生が鼻息を荒くして叫んだ。
みんなが少し気まずくなっている中、岡崎くんは密かに笑っていた。
これからどんな生活になるのかあたしは少しわくわくしていた…。