オオカミとお姫様

「やっときたか…」

「そこへ座りなさい」

2人に促され、いやいや座る。

「で、話って何」

「わかっているくせに。…お前、また退学願を出したそうだな」

「…知ってるじゃねぇか。ならそれ以上話すことはないだろ」

「なかったらわざわざあんなとこまで出向かないわ」

「じゃあなんだよ」

早くここから解放されたい。
その一心で聞く。

「最近、学校に行っていたそうだな」

「あぁ。それがなんだよ」

「今まで行く気にもならなかったくせに?」

「…あぁ。で?」

「なんでも、女の子が迎えに行ったそうじゃない」

「なっ…」

なんで知ってんだ。
まさか…

「行きたくなくなったのはその女が原因か?」

「は?違ぇし」

「だが、ある時からその女と距離を置いているじゃないか」

「もしその女のせいで学校に居たくないのなら」

「違ぇっつってんだろうが!」

感情的になってしまった。
まさか、監視されてただなんて…
まぁやりかねないとは思っていたけど。

「それに、サッカーまでしていたそうだな。あんな将来に無駄な事を玲央に強要させていたそうじゃないか、あの女は」

「あなたは将来桜井家を背負って立つ人間よ。それをあんな女のせいで…」

「あんな女…?」

「えぇ。一緒にいたら玲央がダメになっていくに決まってる」

母親の言葉に俺の理性がとんだ。

「俺がどうしようと勝手だろうが!…もし詩音に何かしたら、絶対許さねぇ」

吐き捨てるように言い、そのまま玄関へ向かった。