オオカミとお姫様

「桜井くんって、意外といい匂いするな」

「…は?は!?」

「さっきそう思った」

「マジキモい。やっぱ変態栄養士だな」

「素直に褒めただけでしょうが」

先公は苦笑いをしながら鍵を開けた。

「まぁ、なんでもいいけどさ。自分が大切にしてるもんは近くに置いておかなきゃダメだぞ。そのうち消えてなくなっちまうからな」

「え?あ、あぁ」

「何?納得してない感じ?」

「べっ別に」

納得してないわけじゃない。
近くにいてほしい。
けど。けど、それじゃ詩音を汚してしまうことになる。
俺のせいで、詩音の瞳は哀しいままになってしまう。
そんなのは嫌だ。

「桜井くんは、恋愛云々の前に人付き合いから始めないとな」

「うっあ…」

「でも、早くしないと誰かに取られちゃうかもね」

面白そうに笑う先公。
絶対俺で遊んでる…

「うっせ。もう帰るわ」

「…あ、なんか先生に話があったんじゃないの?怒られに来たわけじゃないみたいだし。もしそうだとしたら…Mなの?」

「Mじゃねぇし!なんだっけ…」

なんで俺変態栄養士のとこに来たんだっけ…あっ!