オオカミとお姫様

「…ここ、どこ?」

女が目を覚ましたようだ。

「起きた?」

「…えっ!?あっ私っ」

声をかけたら、動きが挙動不審になった。
面白い奴だな。

「あんた、熱出して倒れたんだよ」

青ざめた顔になった。

「あのっ、ご迷惑をおかけしてすみません…」

また謝られた。
謝るのが好きなのか?

「別に。お前、もう少ししたら帰れよ」

もう夜だしな。
早く帰った方がいい。
俺は部屋から出ようとした。

「待って!ください…」

女が呼びとめた。
振り返ると、わたわたした女がこちらを見ていた。

「あの…学校、の事なんですけど…その…」

そのことか。
いかにもダメもとって感じで話している。

「学校は嫌いだ。けど、あんたがいるなら行ってやってもいい」

それが今の俺の本音だった。
こんなにしつこく付きまとわられたのは初めてだったから。
不覚にも面白い奴だって思ってしまったから。
こいつがいるなら…

「そんな…えっ!?…ほっ本当ですか!!?」

「あぁ。こんなにしつこい奴は初めてだからな。なんか興味が湧いた」

「理由は何でもいいです!学校に来て下さるなら…」

こんなに喜ばれるとは思ってなかった。
学校の回し者のくせに、自分の事のように喜ぶなんて…
面白い奴だ。
俺は女に興味がわいた。