オオカミとお姫様

「ずりぃよ」

「え?」

「詩音、ズルすぎるよ」

俺だって詩音の事、嫌いだったことなんてない。
大好きだった。
嫌われてるんじゃないかってずっと思ってたし。
俺が先に言いたかった。

「なんで俺が言いたかったこと全部言っちゃうんだよ」

我慢できなくて、詩音を抱きしめた。
詩音ってこんなにちっちゃかったっけ。
愛おしさが増していく。

昨日抱きしめられたときとは少し違う。
嫌な感じのしないもの。

「俺が詩音のこと、嫌いになるわけねぇじゃん」

さっきよりも力を込めて抱きしめる。

「俺の方が嫌われてるんじゃねぇかって…」

詩音の顔が見たくて離れる。
涙は止まったようだった。
良かった…