オオカミとお姫様

「無理やり連れてきて悪かったな」

「違う…」

「もう詩音に近付いたりしないから」

これでいい。これで…

「違う!!」

「しっ詩音!?」

突然の大声に驚く。

「違うんです…私は…私は…」

詩音が何か言おうとしている。
『違う』なら…なに?

「…っ」

涙を流す詩音。
また俺は詩音を泣かせてしまった。
これは…泣きたくなるくらい嫌いってことなのか。
消えろってことなのか?

「詩音!!!」

思わず大きな声になる。

「嫌いだ、なんて…嫌いって…思ったこと、ありま…せん…」

詩音が言った言葉は俺が思っていたのとは真逆だった。

「桜井くんに、嫌われ、てなくて…よかった、です」

涙を拭って笑顔を見せた詩音。
その表情に高鳴る心臓。