オオカミとお姫様



「…すっすみません」

最後の『すみません』と一緒に詩音が離れた。
離れてもなお、詩音の温もりが残っている。
詩音を見ると、涙で濡れた瞳が潤んでいる。

「詩音っ」

「私、もう玲っ…桜井くんのご迷惑なるようなことしませんから。だから、学校に来てください。サッカー続けてください。だから…だから…」

どういう事だよ!
涙を必死に拭いながら言う詩音。
迷惑って何も詩音は迷惑な事してないじゃないか!
迷惑かけてたのは俺の方だ。
何を言ってるんだ詩音!!

詩音は一礼して足早に俺から去っていった。
俺は何もすることもいう事も出来ずにその場に立ち尽くしていた。