オオカミとお姫様

「あっあの、大「てめぇら、なにしてんの?」

口をはさむように大声で聞いた。
振り向いた女は今にも泣いてしまいそうな顔だった。

「さっ桜井君…」

「…なにしてんの?って聞いてるじゃん」

「えっあっ…そっその、道…道を聞いてただけで別に…」

「あっそ。道、わかったんだろ?」

「あっはい。しっ失礼します」

ナンパ共はいなくなった。
何してんだよ、俺。
人になんか興味ねぇはずなのに。
ついさっき会っただけなのに。
学校の回し者のくせに。

なんで助けたりなんか…

「あっありがとうございます。2度も…くしゅん」

女がその場に座り込む。
くしゃみまでして、寒いのか?
目で見てわかるくらいに震えていた。

「別に。…寒いか?」

思わず聞いてしまった。
初めてこいつに話しかけたかも。

「だっ大丈夫です…くしゅん」

「ったく、強がってんじゃねぇよ。くしゃみしてんじゃんか」

どこが大丈夫なんだよ。くしゃみして…
俺は近くにあった俺の上着を女にかけた。

「…あったかい///」

安心したような顔。
こいつ、俺に警戒心とか持ってねぇのかよ。