ー紅虎ー 壱




「…居場所、」

「あ?」

「居場所がちゃんとあるんだね。」


あたしがそう言うと、みんな笑顔になって纏っている空気が軟らかくなった。

「媚びるか試したみたいだけど。」


ボソッと言ったつもりが、全体に聞こえていたようでまた一気に視線を感じた。


「それだよ!女はみんな僕たちの名前と族のブランドだけで寄ってくるんだ。なんにも知らないくせにさ!だから関わらないようにしてるの!」

勢い良く、蒼空の愚痴を聞かされた。


まー、分からなくもない。
龍兄も駿もそんなことを言っていたから。


「安心して。あたしそう言う面倒くさいこと嫌いだから。あなたたちが、族だろうが何だろうがあたしには関係のないこと。もう関わることもない。…じゃ」


そう言って立ち上がった。


「紗羅っ!どこに行くの?」


ちょうど良かった。
不安だらけの蒼空に言っておく。


「…ねぇ、蒼空は蒼空でしょ?族に入ってるのは蒼空が望んだからでしょ?“龍月″は大好きな場所なんでしょう?だったら、胸張って堂々としてればいい。何も怖がることなんてないと思う。好きなことを好きだって言える蒼空はカッコいいと思うよ。…あ、みんなもね。……じゃ。」



そう言って、屋上を後にした。


あたしが言いたかったことが、伝わったかどうかは分からないけれど、言いたかったことを言えたから良いだろう。