「…居場所、」
「あ?」
「居場所がちゃんとあるんだね。」
あたしがそう言うと、みんな笑顔になって纏っている空気が軟らかくなった。
「媚びるか試したみたいだけど。」
ボソッと言ったつもりが、全体に聞こえていたようでまた一気に視線を感じた。
「それだよ!女はみんな僕たちの名前と族のブランドだけで寄ってくるんだ。なんにも知らないくせにさ!だから関わらないようにしてるの!」
勢い良く、蒼空の愚痴を聞かされた。
まー、分からなくもない。
龍兄も駿もそんなことを言っていたから。
「安心して。あたしそう言う面倒くさいこと嫌いだから。あなたたちが、族だろうが何だろうがあたしには関係のないこと。もう関わることもない。…じゃ」
そう言って立ち上がった。
「紗羅っ!どこに行くの?」
ちょうど良かった。
不安だらけの蒼空に言っておく。
「…ねぇ、蒼空は蒼空でしょ?族に入ってるのは蒼空が望んだからでしょ?“龍月″は大好きな場所なんでしょう?だったら、胸張って堂々としてればいい。何も怖がることなんてないと思う。好きなことを好きだって言える蒼空はカッコいいと思うよ。…あ、みんなもね。……じゃ。」
そう言って、屋上を後にした。
あたしが言いたかったことが、伝わったかどうかは分からないけれど、言いたかったことを言えたから良いだろう。
