ー紅虎ー 壱





「…え?」

聞こえなかったのだろうか。


「行かない」


あたしは、もう一度今度はしっかりと聞こえるように言った…つもり。


「どう、して?」


聞こえたのか、あたしに聞いてきた。


ねぇ、どうしてそんなに、悲しい顔をするの?
どうして、声がそんなに震えているの?
どうして………




泣きそうなの?



「行く必要がないから」


頭の中では、分かっていてもあたしの口から出る言葉はどれも冷たい言葉ばかりだ。


最初から嫌われれば、面倒なことに巻き込まれることもなくなるでしょう?



目の前の男は、あたしが拒否の言葉を表したのにも関わらず今度は強制的にあたしの腕を掴み立ち上がらせた。