ー紅虎ー 壱



「やっぱり!さしぶりだな!」

あたしが口にするといきなり満面の笑顔を浮かべた。

「…だれ」

基本、家族と知り合い以外には冷たいから何の感情もないまま、そう口にする。

今でも、男の人を見ると“あの人”とかぶって見えてしまうから心なしか体が震える。


あたしは、理事長と一定の距離を保ちながらそう言った。


「まぁ、忘れてても仕方ねぇか。…琉二(リュウジ)だよ」


りゅう、じ…?

名前を聞いて、今まで出会った人物の名前を必死に思い出す。


え…?まさ、か。

「…琉、ちゃん…?」

恐る恐る、あたしがそう言うと理事長は


「おぉ。さしぶりにその呼び方聞いた」

そう言って満面の笑顔をまた浮かべた。