ー紅虎ー 壱




部屋にはいると、必然的に視線が部屋の中にいる人物へといってしまうわけで。

あたしは、目の前の高そうな椅子に座っている人物とバチっと目があった。


「…っ、紗羅…か?」


最初にあたしの顔を見て驚きながら声を発したのは向こうだった。


あたしの名前が知られているのは入学手続きの時に書いたから当然っちゃー当然だけど、どうして初対面で下の名前で、しかも呼び捨てなの?


あたしは、急すぎる展開に頭がついていかなくて、思わず自分の眉間に皺が寄るのが分かった。


「なぁ、紗羅だよな?」

あたしが黙っているからなのか、もう一度あたしの名前を確認する、理事長。


あたしが本当に紗羅なのか確信しようとしているんだろうか?


「…はい」


あたしはそう思って少し頷いた。