ー紅虎ー 壱




…コンコン

この音であたしは深い眠りから
目覚めた。

「…んー」

まだ完全に起きていない体を
無理に動かした。


あたしの小さな声を聞き取ったのか
あたしの部屋をノックした人物が
中へと入ってきた。


「紗羅。学校行かねぇのか?」

ベッドに座っているあたしに近付いて
頭を撫でてきた。

「…行く」


あたしはそう言いながらベッドから重い体を起きあがらせた。

そして一緒にリビングへと続く廊下を歩く。


あたしを起こしにきたのは
あたしのお兄ちゃん、赤月 龍弥(アカツキ タツヤ)。