忘れ去られたキオク




そう思うといてもたってもいられなくなった。




...アイツに敵わない?



冗談じゃない。



心で呟くと同時に、未だに差し出したままの右手をギュッと握りしめて駆け出した。



──



しばらく走ると、しょんぼりとした小さな背中が前を歩いていた。



俺は無言でその背中を見つめる。



時折、ヒクッと肩をあげる仕草は椎菜が泣いていることを表していた。