「ああ、そうだ。
お前が来るのは反対だ」


あたしのそんな祈るような思いもむなしく、部長はきっぱりと言い捨てた。


一瞬にして頭の中が真っ白になる。
部長から好かれてるなんて自惚れていた訳では、決してない。
だけど、まさか嫌われてるとも思っていなかった。


ううん、違う。
気付かない振りをしてただけだ。


部長は最初から、あたしみたいな外見だけの女は嫌いだって言ってたのに。
勝手に好きになって、勝手に勘違いして。
あたしは何を浮かれていたんだろう。


「…櫻井?」


黙り込んだあたしを、今度は部長が覗き込む。


何でも見透かすような目に見つめられるのが辛い。
こんな情けない顔、見られたくない。


「───あたし、帰ります。
勝手に参加してすみませんでした」


あたしは何とかそれだけ言うと。
そのまま店を飛び出した。