びっくりして振り返ると、小泉部長が呆れ顔であたしを見ていた。


「物に当たるな、お前は子供か」


「離して下さい」


あたしはその手を振り払って部長を睨む。


「小泉部長には関係ないじゃないですか」


「───和田も葛城も俺の部下だし。
不可抗力とは言え、俺がお前にけしかけたようなものだからな。
悪かったよ」


頭をかく部長の言葉に、あたしは黙る。


「和田のことはもう諦めろ。
葛城と張り合っても、お前にメリットはないよ」


まただ。
部長はまた葛城主任と比べて、あたしを否定する。
葛城主任には到底敵わないと言われたようで、悲しくてたまらない。


「何で和田さんも、───部長だって…。
みんな口を揃えて葛城主任、葛城主任って言うんですか?
あたしは、そんなに魅力ないですか?」


気付けば目に涙が浮かんでいた。