あたしにはずっと気になっている男性がいた。


会社の先輩で企画部の和田さんは、端正な顔立ちにメガネをかけた、正統派のイケメン。


その見てくれからして女性が放って置くわけないのに、浮いた話一つ流れない真面目な彼の、そのメガネの裏側を覗いてみたくなったのだ。


ちなみに、あたしはこれまで恋愛で苦労したことがない。


自分で言うのもなんだけど、抜群の外見のおかげで言い寄ってくる男はいくらでもいたから、あたしはいつもその中から自分の求める条件に一番合致した相手を選んでいれば良かった。


おかげで幼い頃から女ウケはあんまり良くなかったけれど、それを補って余りあるくらい男ウケが良かったから何一つ不自由したことはなかったのに。
和田さんはなぜかあたしに全然なびいてくれなかったのだ。