「試すって、そんなのダメだろ」


「───恋人を顔で選んでも良いなら、身体の相性で選んだっていいじゃないですか」


和田さんが面食らってる。
それもそのはず。
だってあたしは、彼の前ではずっといい子の振りをしていたから。


だけど本当のあたしは手段を選ばない肉食系。
和田さんを手に入れるためなら、葛城主任から寝取るのだって構わない。


「この間はその気になりましたよね?」


和田さんはあのとき絶対、酔った振りをしたあたしとホテルに行こうとした。


「あたしの誘いに乗りかけたのに」


和田さんは気まずそうに視線を逸らす。


悔しい。
あのとき葛城主任から電話さえなければ、あたしたちはきっとあの夜一線を越えていたのに。


「あの日すっぽかしたお詫びがしたいって言うなら、あの夜をやり直させて下さい。
一度でいいから、試してみて下さい」