「───それなら、食事がいいです。
この間は中途半端になっちゃったから」


認めるのは悔しいけれど、現段階ではあたしは葛城主任に完全に遅れをとっている。
だけどあの日、一瞬でも誘いに乗りかけたのが勘違いじゃないなら可能性はある。
まだ決着はついてない。


和田さんはあたしを見つめながら少し考えるようにしたあと、


「そうだね」


苦笑しながら頷いた。


「これからちょっと忙しくなるから今週だと助かるな…。
急だけど今夜とかは空いてる?」


「大丈夫です」


後藤さんの誘いは適当に断ったくせに、和田さんのときは即OKしてしまうあたり、我ながらかなり前のめりになってる。
ていうか、やっぱり後藤さんの誘いを断っておいて正解だった。


「場所と時間はメールする。
じゃあまた後で」


前言撤回。
今日のあたしはツイてる、と心の中で神様に感謝しかけた次の瞬間。


「───二人とも、ちゃんとお腹空かせて来てね」


和田さんのその言葉が、あたしの盛り上がりかけた気持ちに急ブレーキをかけた。