「デマなんですか?!
だったら、何のためにこんな面倒くさいこと…」


そこまで言いかけてハッと口をつぐんだあたしを見て、部長はなるほどね、と鼻を鳴らした。


「───お前は和田に惚れてて。
葛城が邪魔だから、俺を利用して排除しようとしたってところか」


ズバリ言い当てられてあたしはぐうの音も出ない。
そんなこと一言も言ってないのに、こいつにはお見通しみたいだ。


「残念ながら俺と葛城はデキていない。
お前のくだらない恋路に、無関係な俺を巻き込むな」


部長は溜め息混じりにドアノブに手を掛けると、去り際に、あたしを見て言った。


「お前みたいに、使えるものは何でも利用しようとする女がいるから、葛城は誤解を受けるんだな。
よく分かったよ」


部長のその言葉にカチンと来た。


「…葛城主任だって、外見を利用して地位も男も手に入れてるじゃないですか」


「───男はどうだか知らないが、少なくとも主任になったのはあいつ自身の実力だ。
お前と一緒にするな」


即答する部長に、苛立ちが最高潮に達した。


何よコイツ、さっきから葛城主任の肩ばっかり持って。
何だかんだ言って、結局あの女が好きなんじゃない。
そんでもって相手にもされてないんじゃない。