月宮天子―がっくうてんし―

あっという間に光は竹刀、いや、真剣のような形を作った。

愛子はSF映画やアニメの、『なんとかセイバー』みたいなのを思い出す。だが、スイッチひとつでレーザーが出ている訳ではなさそうだ。

蓮はそれを白露に向けて構えた。


(本物のヒーローみたい!)


愛子はヒーローのあるべき姿を蓮の中に見つけ、感動していた。

ミドリムシみたいな海とは雲泥の差だ。

先刻の電話を思い出し、愛子は怒りを新たにする。


次の瞬間、白露は左手も鉤爪に変化させ、蓮に襲い掛かる。彼は攻撃を光の剣で受け止めた。どうやら、ちゃんと物質も捉えるみたいだ。

白露は鉤爪を弾いて踏み込み、斬りかかる。革ジャンが切り裂かれ、豊満な胸が露になった。


「きゃっ!」


思わず、愛子のほうが声を上げてしまう。

蓮は少しずつ移動して、愛子の前に立った。


「――立て。逃げろ」


蓮は短く言うと、白露に斬りかかった。『光剣』を横一文字に払い、直ちに、正眼に構えなおす。そして間髪入れず、白露の喉元を狙い、蓮は突きを繰り出した。