月宮天子―がっくうてんし―

海が掴んだ玉より、もっと、艶々して光り輝いた色。車のメタリックグリーンのようにテカテカしていた。変身後の海は身長二メートルを超えている。

愛子は海の顔を見るために、かなり視線を上げた。

目は……あった。角とか牙とかはない。初めて大型犬を撫でるときのように、愛子はそうっと近づいて体に触れてみた。体毛は生えてなくて、比較的ツルツルだ。そう、ボディビルで鍛えた筋肉が盛り上がり、オイルに濡れてテカってる感じであろうか。

でも、愛子は傍まで寄って気が付いたのだ。

なんと、海は全裸である。

愛子の視線を下方修正すると、ちょうどソノ部分がまんまグリーンになっていた。

だが、愛子は実物を見たことがない。そのため、絶対確実とは言い難いが……。愛子は、慌てて視線をそらし、教えるべきかどうか本気で悩んだ。


「なんとかライダーみたいだねぇ」


佐々木警部はボソッと言う。


「なんとかレンジャーかも……。ほらアレって何色かあって、なんとかグリーン参上、とか言うじゃない」


愛子は、ひとまず股間の件は見なかったことにして、佐々木警部に話を合わせた。


「ライダー? レンジャー?」


ふたりの会話に海は不安そうだ。


「ねえ、カイ。変なこと聞くけど、わたしたちのこと、食べようとか思わない?」

「いえ、トクにお腹は空いてませんが」

「そうか……ねえ、ちょっと、コレって」


愛子は、妙に馴れ馴れしい美少年・流火に海の変身について尋ねた。