月宮天子―がっくうてんし―

「蓮、逃げてっ!」

「カイッ、蓮を助けて!」


胸と右肩の傷で海もフラフラだ。でも海しか頼れない! 海は愛子の悲鳴に飛び起き、蓮に駆け寄った。


「蓮さん、立てるか?」


蓮は左右に首を振っている。


「くっそー。どうすりゃいいんだ。教えろよ、宝玉。皆を守りたい! 俺を『月宮天子』にしてくれ!」


海が天を仰いで叫んだ。そのときだ!


海の胸から、弾丸のように『碧玉』が飛び出した。

青い光の玉は氷月の眉間にぶち当たり、金豹はもんどりうって倒れ込む。


「ど、どうなってるの?」


愛子は訳がわからない。なんと、見る間に海の変身は解け、人間の体に戻る。

氷月も『碧玉』の攻撃に一瞬は怯んだが……再び体勢を立て直し、海のほうを見据えた。


次、人間の体で襲われたら……抵抗もできないだろう。


(ちょっといったいなんなのよ! 『月宮天子』はどうなったの?)


だが、海は全裸で金豹と対峙し、一歩も引かず仁王立ちになっている。そして、おもむろに胸に手を当てた。