月宮天子―がっくうてんし―

折角のチャンスだったのに訳がわからない。

海は途端に内股になり、まるでオカマのような格好だ。もたもたしている間に、天泉は体勢を立て直し、一気に距離を縮められた。

そのまま“ヒグマの突っ張り”を食らい、海は吹っ飛ばされる。


「カイッ!」

「カイ――負けるんじゃない!」


なんでこの女が呼び捨てなのよ。と愛子は思ったが、助けてもらった手前そうも言えない。


「おい! 今のはなんだ? なぜ、カイは突然蹴りを止めたんだ!」


朔夜は愛子に説明を求める。


「そんなことわたしに聞かれたっ……あ!」


不意に一の言葉が過った。『フルチンだったぜ』――コレだ!


「変身すると、カイって、その……全裸じゃない。こないだまで、そのことに気付いてなかったの。でも、一くんに聞いちゃってさ。もう、今更って言ってるのに」

「お前……奴とはもう、そういう仲なのか?」

「ま、まあね。何? あなたに関係ないでしょ!」

「関係なくなかろう! だったらどうにかしろっ! 『月宮天子』が天泉如きにやられてどうする!」


どうにかしろと言われても、どうすればいいのだろう?