「なんで?だって優ちゃん一緒にツリー見に行ってくれるって約束したじゃん…」
悲しそうに俯く彼女。
俺はそんな彼女のすがたを見ながらも、今朝、クラスメイトから言われた言葉が頭から離れなかった。
『おい!鶴田、お前隣のクラスの潮見一華(しおみいちか)と仲いいみたいだけど、今年のクリスマスはやっぱ潮見と過ごすのかよ?』
ニヤニヤした顔で突然そんなことを言われて頭が真っ白になり、照れくさかったのもあって、思わず。
「は、はぁ?誰が潮見と過ごすかよ!俺は家族と過ごすんだよ!今年も寂しく!」
そう言ってさっさと帰ってきた。
帰って自分の部屋に籠っても罪悪感しか浮かんでこず、みんなには内緒で一華と過ごしてもバレねぇかなとも思ったが、一華は絶対ツリーを見に行きたいと騒いでいたし、友達の中には彼女持ちの奴もいて、同じ場所にツリーを見に行く恐れもあったからやっぱり諦めるしかなかった。
「優ちゃんは毎年一華と過ごしてくれてたじゃん!
急にどうしてツリー行きたくないとかゆうの?
もしかして彼女ができたとか…?」
ムスッと膨れる一華を見ないフリをして
「そうゆうんじゃねえけど…」
と言うとまたもや
「じゃあどうして?」
と一華がしつこく問い詰めてくる。
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