目を開けると、そこはいつもの私の部屋だった。
私はローテーブルに参考書やノートを広げたまま眠っていたようだ。
けれど、まだ陽は高い。
たぶんほんの少し寝てしまっていただけなのだろう。
身体を起こすと、肩からなにかがずり落ちた。
目をこすりながらそれを手に取ると、ブランケットだった。
自分でかけた覚えはない。
そもそも最初から眠るつもりだったわけではなく、うたた寝だったのに。
祖父母のどちらかだろうか。
けれど祖父はもちろん、祖母も私の部屋にいきなり入ってくるようなことはしない。
ノックをされたらさすがに私も起きただろう。
じゃあ、これは――・・・・
そのとき、薄く開いた窓から風が入り、参考書のページがパラパラとめくれた。
窓を開けた覚えもないのに。
飾ってある家族三人の写真を見ると、いつもより両親の笑みが濃いような気がする。
風に揺れるレースのカーテンのそばに、穏やかな気配を感じた。
Fin.


