Goodbye XX


眩しく降り注ぐ太陽の光に手をかざす。

血管の赤が透けて見えて、生きていることを実感する。

そしてこの身体に流れているのは、父と母の血。



公園を駆けまわる子どもたちの笑い声が、風にのって流れてくる。

穏やかで平和な日常は、きっとこれからも続いていく。




バスケットコートを囲むフェンスの扉が、小さな音を立てて開いた。

そこから顔を覗かせたのは、母だ。


父の隣に腰を下ろそうとする母を少し待たせ、父が着ていたパーカーを脱いで敷いた。

母はそんな父に微笑みかけ、静かに座る。




家族三人、一緒の休日。


かけがえのない、幸福な時間。




目が潤んだのは、太陽の日差しが強かったから。

切なくなる理由も、悲しい理由もないはずなのに、なぜだろう。


心の思うままに、寄り添う両親の姿をしっかりと目に焼き付けておいた。