その日起床すると、いつもより体が軽かった。
伸びをするついでに何気なく首筋に触れると、短い髪が手にあたる。
こんなに髪が短かっただろうか。
いや、皇ヶ丘学園バスケ部に、髪の長い部員などいない。
女子であっても刈り上げ寸前まで短く切りそろえているのが普通である。
私はいったいなにを勘違いしているのだろう。
覚えた小さな違和感すらも、すぐに消えていった。
階下に下りてリビングに入ると、新聞を読んでいる父が目に入った。
相変わらず、気難しい顔をしている。
キッチンから母が顔を出す。
白地に紺の花柄が描かれているエプロンは、いつも母がつけているものだ。
なにもおかしいところはない。
顔を洗おうと、洗面台の鏡にうつった自分を見て、やはりどこかおかしいと感じる。
私は老け顔ではないにせよ、童顔だと言われたこともない。
けれど、こんなに幼かっただろうか。
私は、17歳なのに、これではまるで――・・・・