新「もぅ、冬だな」

新が、白い息をはぁっとはきながら季節の変わり目を告げる。

響「…そうだったな」

我ながらいまきずいた自分に苦笑する。

「そういえば…」と話始める新の話を聞きながら小さい息をはいた。

凍りつくような寒さに身震いをする。

すると、急に新が「あっ!」と一層大きな声を出した。「どうした?」と振り向こうとすると白いものが目の前を通った。

…雪だ。

白い白い雪は、地面にぽつりと虚しく落ちてこれが繰り返されいずれ積もる。

地道な雪たちの作業。暖かくなるとどんどん溶けていき、苦労が水の泡になる。
何とも悲しい気象だが、それが雪たちの役目なんだ。

いつのまにか、雪が強くなり新が「はやくいくぞっ」と急かす。俺は淡々と新の後ろをついていった。




新と別れて家につくと、シングルベッドに、ばふっとダイブし顔を枕に沈めた。

そのまま、眠くなり夢の世界へ旅立っていった。


ー…ー……

「おかあーさん」

小さい頃の自分。

「ごめんなさい」

自分は悪くないと知っているのに何故か謝ってしまう毎日。

「うぁぁぁぁぁぁ」

借金に見回れ、女に溺れた哀れな父。

「いやぁっ!やめて!」

やめるわけないのに、ひたすら「やめて!」と繰り返す母。

小さい自分には、よくわからなかったけれど何故か悲しい気持ちになった。

だから、やめさせるために

「うぁぁぁっぁぁぁぁあ!!!!」

グシャッ

グサッ


………やっちゃった。

「ごめんなさい」

血塗れの床を眺めながら、小さな声で呟いた。

どうせ、謝ることになるんだね。

俺は、……笑っていた。

…ー…ー……

響「…っ…はぁっ…」

また…あの夢。

汗ばむ身体をゆっくりと起こし、お風呂場に向かった。