「夏希?どうしたの?」 「あ…え?いや、何でもないよ?」 「だって、涙目だよ?」 ばれちゃった。 「グラタン、熱くて…」 わざとらしくふ~っと息を吹きかけながら言った。 「気をつけなきゃね。」 何かを悟ったように、笑う拓真。 いつもこれ。本当はきっと、何かあるんだと気づいてるはずなのに、絶対に聞いてこない。 私の視線には気づかずにグラタンを口に持っていく拓真。 綺麗な髪…。