数分もしないうちにココアのいい香りが鼻をかすめた。 「………おいしい。」 「それは良かった。」 柊さんはまたニコッと笑った。 よく笑う人……。 どうしたらこんなに笑えるんだろうか。 ……なんて、そんなことあたしが考えてもムダか。 「夏希はさ。」 バカみたいなことを考えてたら、不意に柊さんに話しかけられた。 「どうして家出なんかしたの?」