空はいつもみんなをみている
今日も誰かをみている




「ママー!!まってまって!!」

この子は今、お母さんに追いつこうと必死になって
走っている。

しかし、母親は・・・

「しつこい子!ほら!あっちへいきなさい!」

この子に父親はいないらしい。
母親は風俗で働き、薬もやっている。
挙句の果てに子どもを捨てたところだ。

かわいそうな子。

子どもは大泣きでお母さんを追っている。
しかし母親は車に乗ってしまい、もう追いつけない。

「はぁはぁ。ママぁあああああああああ!!!」

叫んでも叫んでも母親は帰ってこない。

子どもが泣きつかれ、ぼーっとしながら空をみた。
空はその子が笑えるようにと一生懸命笑っていた。

子どもはまた泣き出してしまった。

空も悲しくなり、泣いてしまった。

その子はどれくらい泣いていただろう。

空もどれくらい泣いていただろう。

そこは森の中。

誰も道を通らない。

だからその子が大声をあげても誰にも聞こえない。

空だけに聞こえている。

夜になり、雨と空腹でその子は体中冷えてしまった。

空は太陽さんの力を借りて暖かくしてあげたいが、それは無理だ。

お月様はまんまる。

ちょっと冷ややかな目でその子をみている。

その子が暖かくなるような陽の力は貸してくれない様だ。

空はまたちょっと悲しくなってしまった。

その子は無表情で歩き続けている。

お腹がすいているのに。
不安なのに。
悲しいのに。

歩き続けている。

しかし、暗い中歩いていたので転んでしまった。
その子はまた泣きそうだ。

かわいそう。かわいそう。

そのとき、がさがさと草が動いた。

びくっ。

「だ・だれ!?・・・ですか。」