「俺がでかい広告のでかい乳の姉ちゃん見て、『うひょー』とか言ってたから怒ってるんでしょ?」


優斗はけらけらと笑った。

「は?違うし。

優斗が変態なのは今日に始まったことじゃないでしょ。」

「え、違うの?瀬菜はお子様だし、それで怒ってたのかと思ってた。たはは!」


本当に、この人は波が激しい。

さっきの大人な優斗はどこに消えたかわからない。

今は幼馴染のばか優斗バージョンだ。


「あのね、人のことお子様お子様ってうるさいよ、ばか優斗。今時の高校生でね、広告の水着のお姉さん見て興奮するの優斗くらいだよ絶対。」

「言ったなお前。じゃあなんで怒ってたのか言ってみろよ。」



・・もっと恋人らしくなりたい。


手もつないでくれない優斗に怒ってるなんて恥ずかしくて言えるわけない。

第一わたしも原因を作っている張本人だ。




「黙り込んでたらわかんない。瀬菜?」



「瀬菜からどこかに行きたいとか言われたの初めてだったし、うれしかったよ俺。

だから俺、テンション上がってさ、駅の広告にも挨拶したくなるくらい。」



優斗は微笑んだ。



でたな、キザ優斗。




そしたらお決まりの、首を縦に振るしかできないわたしが出現する。



何も言えないくらい、彼が好きだ。


どうしようもない。


彼はプっと吹き出してから、わたしの腕を掴んだ。