後悔、時すでに遅し。 「あ?」 めんどくさそうに、お兄さんはあたしをまっすぐ見つめていた。 「お、お兄さん怖い、けど…。め、迷惑では、なかったですからっ!!」 あたしが大きな声でそう言うと、お兄さんはフッと柔らかい笑みを浮かべて、 「お兄さんじゃねぇ。黒川優太【クロカワ ユウタ】だ」 さっさと歩いて行ってしまった。