僕がどんなに罵っても



 僕が突き放しても突き放しても、冬麻はいつもついてきた。



 犬みたいにふわふわとした栗毛に丸い大きな瞳



 中一にしては背の高い、制服を良い意味で崩壊しながら着こなしてた。



 ふふって独特な笑いをしながらいつの間にか側にいた。



 いつも側に居て



 「琉依先輩好き」



 って言ってきた。



 それが冬麻だった。



 人に甘えるのが得意で、何だかんだでいつも僕の側にいた。



 決して付き合うなどはなかったけど、冬麻は側にいた。



 この残酷な居心地の悪い異空間の中でも唯一話すのを許した。



 冬麻だけは許した。



 でも冬麻は"翼"って名前じゃない。



 冬麻の名前は…



 前山冬麻だから。









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