「真柴って習字とかやってた?」 ……再び沈黙を破る久世くん。 文字の話題、まだ引っ張りますか。そうですか。 でもね、出来ることなら話しかけないで頂きたい。 「習ってないよ」 それでも律儀に返すけど。 会話が終わるように、疑問文では返さない。 「じゃー、何でそんなに字、キレーなん?」 「別に綺麗じゃないよ。普通だよ」 「謙遜すんなよ、似合わねー」 「謙遜なんてしてないよ」 なんかさ、久世くんの言葉、ちょっと引っ掛かるんだけど。 似合わねーって何さ。 久世くんは私の何を知っているんだ。