いやいやいや。 そんなまさか。 だって私は今までの人生で、教科書を忘れたことなど1度も無い素晴らしい人間なのだよ。 そんな私が、古典の教科書を忘れたと? ……忘れたと? そんな受け入れがたい出来事が、 今まさに私の目の前で起こっている。 ―――んなバカな。 私は今一度、鞄と机の中を確認してみた。