「抱いてください…!」





夕陽の影になっている、校舎裏。




部活動の声が遠くに聞こえる。




いつもみんなに囲まれて、

バレンタインデーなんかは抱えきれないほどのチョコをもらって、

そんな彼を私は遠くからみていることしかできない。







それが、今はそんな彼と二人きり。






「反応に困るんだけど…」






そう言いつつ、

苦笑する俊也(しゅんや)くんさえもかっこよくて。