「ソイツ、さっき多分聞いた名前だと思うが真優っていうんだ」
真優ちゃんっていう子は藤澤陸の本気で好きだった人の名前だったんだ。
「俺の一目惚れだった。ずっと好きで告白してオッケーもらって。それで楽しい毎日が送れると思ってた。真優といると毎日が楽しかった。このままでいれたらって思ってた。
だけど現実は甘くなかった。ある日、真優は海外へ家族旅行に行ったんだ。でも行きの飛行機が……」
もしかして……
「墜落……したんだ。俺はしばらく信じることができなかった。でも、アイツが……和穂が現実見ろ!って言ってきて。
頭をハンマーでガーンって殴られたような気分だった。それからだ。俺が荒れたのは」
「………」
「ムカつくヤツはとりあえず殴って。喧嘩して。
なんの感情も持たずにただいろんなヤツらをひたすら殴るしかできなかった」
藤澤陸にこんな辛い過去があったんだ……。
大切な人がこの世からいなくなる。
あたし、考えたことなんてないよ……。
やだもん……。