「いいから持っとけよ? また押し戻したりすると、余計に可愛くないぞ」
「……」
余計に、って……。
相変わらず、ひどい言われよう。
ただ、可愛い、可愛くないは別にして、間宮さんはすでにポケットに両手を突っ込んでいて、その様子は“絶対に何も受け取らないぞ”という無言の圧力そのもの。
「じ、じゃあ……大切に食べさせて頂きます。買ってくださってありがとうございます」
「お。素直じゃん」
「浴衣のせい、ですかね」
「ふーん」
ということで、最終的に、りんご飴はあたしの手の中に収まることになった。
「はぁ……。それにしても、綺麗ですねぇ、りんご飴。花火もすごく美味しいです」
それからすぐに始まった、盛大に打ち上げられるフィナーレの花火を見ながら、ぽつり。
せっかくだし、りんご飴は持って帰ってあとで食べようと思っていたのだけれど、間宮さんから「そんなもん早く食ってしまえ」とのお達しがあり、食べながらの花火観賞となった。
けれど。
「お前、それ逆」
「え?」
「綺麗なのは花火。食ってるのはりんご飴だろうが。どこまで抜けてんだよ、アホか」
「……あ」

