「ふーん。ま、お前がそう決めたんなら行ってもいいけど? 花火大会」

「本当ですかっ!?」

「まあな。いずれ民宿を出ていくんだし、そしたらお前とも毎日顔を会わせなくて済むし。たまにはつき合ってやるよ、お前に」


そうして、ハルたちと4人で、3日後の花火大会に行くことがあっさりと決まり。


「あ、そうそう。もう一つあったんですよ」

「今度はなに」

「気に入るか分からないんですけど、これ。落語と漫談のCDです。何か音とか声があったほうが眠りやすいんじゃないかと思って」


すっかり気が大きくなったあたしは、勢いをそのままに、昼間に探しておいたおばあちゃんのCDを間宮さんの前に積み上げた。

嫌がったり、余計なお世話だ、といつものように突き返されるかと思っていたけれど、意外にも間宮さんの反応は上々で。


「へぇ、面白そう」

「全部おばあちゃんが好きで聞いているものなんですけど、すごく面白いんですよ。あたしもたまに聞かせてもらっていますし」

「お前が?」

「はい、そうですけど……」

「ぷっ。やっぱお前、普通の女子とは、どっか微妙にズレてる気がするわ」


妙に話も盛り上がって、おばあちゃんが帰ってくるまでの間、ずっと会話が途切れなかった。