かけぬける青空は、きっと君とつながっている

 
「あ、これは、間宮さんに……」

「間宮さん? なんでまた?」

「ほら、あの人、いっつもつまらなそうな顔してるでしょう。落語とか漫談を聞いたら眉間のシワも取れるかなぁ、って思って」


間宮さんが不眠症かもしれない、というのは、あくまであたしの勝手な想像だし、それを2人に言ってもいいのか分からず、パッと出てきた言葉でその場を取り繕う。

……まあ、間宮さんが笑うといえば「ふっ」という失笑がほとんどだから、今言ったことも、あながち嘘ではないのだけれど。

そうして、若干ドキドキしつつ2人を窺うと。


「ふーん。ま、いいんじゃん?」

「それ聞いて笑ってくれるといいね!」


と、特に不信がる様子もなく、すんなりと納得してくれたようだった。

流行りの曲をレンタルしてこようにも隣の市まで行かなければならず、もしお店に行ってCDのほかにDVDも借りたとしても、残念なことに汐凪には再生するデッキがない。

あるのはCDラジカセくらいだし、そもそも、客室に備え付けのテレビもなかった。

急ごしらえで申し訳ないのだけれど、やっぱりあたしに用意できるものといえば、落語や漫談のCDが限度だったらしい。