それにしても、今日の香ちゃんは人が違うみたいに積極的でハキハキとしている。
昨日の様子から、物静かな子なのかな、と思っていたのだけれど、ハルが困っているとこうも変われるんだと、改めてハルを思う気持ちの強さを感じた瞬間だった。
「う~ん、おいしい〜!このゼリー、もしかして菜月ちゃんの手作り?」
「うん。よかった、お口に合ったみたいで。すごく簡単なの。香ちゃんも作ってみる?」
「いいの?」
「もちろんだよ」
ハルが困っていたとき、香ちゃんのようにあたしは何かしあげられただろうか。
緊張が解けて本当に美味しそうにゼリーを頬張る香ちゃんと、そんな様子をにこやかに見ているハルはどこをどう見てもお似合いで。
こんなに素敵な香ちゃんともっと仲良くなりたいと思ったし、やっぱりハルには何も言わないでおこう、そう、そっと決めた。
「ところでさ、さっきから気になってたんだけど、この落語と漫談のCDの山はなんなの?」
すると、机に積みっぱなしにしていたCDを指さしながらハルが不思議そうに聞いてきた。
香ちゃんもハルに合わせてCDに目をやると、首をかしげてあたしを見る。

