昨日、ちょっとあいさつをしたときには分からなかったけれど、香ちゃんもいろいろと大変な思いをしてきたんだろうと思う。
香ちゃんから感じる大人びた雰囲気は、もしかしたらご両親の離婚や慣れない土地での生活に少なからず関係しているのかもしれない。
なんて、つい余計なことを思ってしまった。
「ふふっ。菜月ちゃん、暗い顔しすぎ。親の離婚は、あたしもそのほうがいいと思ってたから今はもう全然なの。それよりね、菜月ちゃんさえよかったらなんだけど……」
「ん?」
よほどあたしが暗い顔だったのか、香ちゃんは軽く笑って話題を変え、ハルと目配せをする。
なんだろう。
「間宮さんも誘って、みんなで花火大会、行ってみないかな? どうかな、菜月ちゃん」
「……え」
「もうすぐでしょう、花火大会。それに春人君から聞いたの。その……春人君と間宮さん、ちょっとあったんでしょう?」
ああ……。
なんとなく話が読めてきたかもしれない。
間宮さんが昨日、ハルとあたしに掃除機のことを「悪かった」と言っていたのを、夕方頃ハルに話しに行ったのだけれど。
そのあと、それを香ちゃんにも話して、じゃあ花火大会で仲直り……というか、話す機会を作ってみようとあたしを誘いに来た、と。
そんなところだろうか。

