かけぬける青空は、きっと君とつながっている

 
「おう、菜月」

「こんにちは、菜月ちゃん」


午後になると、ハルが香ちゃんを連れて民宿を訪ねてきてくれた。

あたしはちょうどおばあちゃんの代わりに留守番をしていて、その合間に談話スペースで学校の課題をやっつけていたところで。


「ごめん、こんな格好で……」

「いや、全然」

「毎日暑いもんね」

「あははー……」


しかも、Tシャツの袖をまくり、扇風機の風を独占しながら左手でうちわも扇いでいる、というかなり恥ずかしい格好だった。

とりあえず2人を談話スペースに通し、扇風機の首を左右に振れるようにしてあげ、冷たい麦茶とゼリーでおもてなしする。

ちなみにゼリーは、昨日の夜にあたしが作ったものだったりするのだけれど、どうだろう。


「高坂がさ、菜月のところの民宿に行ってみたいって言って。実は高坂も根っからのここの人ってわけじゃないんだよ。それで、菜月に親近感っていうの? 感じたみたいで」


ゼリーを一口食べ、スプーンを置くと、ハルが民宿を訪ねてきた経緯を説明してくれた。

その横で、香ちゃんはハルの言葉を引き継ぐ。


「高校入学と同時に来たの。親が離婚しちゃってね、お母さんの実家がこっちだから」

「……そっか」

「うん」